頭痛・肩こり・手のしびれ
頭痛
代表的な慢性頭痛は3つで「片頭痛」、「緊張型頭痛」、「群発頭痛」が挙げられます。
日本ではストレスから起こる緊張型頭痛が圧倒的に多いです。
片頭痛の患者さんも決して少なくなく、女性に多いと言われています。
頭痛はありふれた症状であるためか病気としての認識が低く、適切な治療を受けている人の方が少ないです。 また、慢性化すると治りにくくなってしまいます。
片頭痛
慢性頭痛の中でも生活支障度が高いのが片頭痛です。
月に1回~数回起こるのが一般的で、痛み出すと1~2時間でピークに達し、4時間~2・3日程続きます。片側あるいは両側のこめかみにズキンズキンという心臓の拍動と呼応する脈打つ痛みの発作が起こり、発作時に動くと痛みが悪化するのが典型的です。また、睡眠不足、ホルモンの変化による体調の変化、光や音、におい、気圧や気温の変化など痛み以外の症状を伴います。
これらは発作時に痛みを増強させる悪化要因にもなります。
【片頭痛を起こしやすい人の特徴】
- 普段からちょっとした外界の刺激や、体調の変化に敏感な人
- 女性ホルモンが関与することから圧倒的に女性が多い
- とても真面目
- 1つの事に集中してしまう
緊張型頭痛
日本人に最も多い頭痛で、「孫悟空の輪っか」とたとえられるように頭のまわりを何かで締めつけられるような鈍い痛みが特徴的です。
長時間に渡って同一姿勢での作業をしていると頭重感と共に首・肩に強いコリを伴います。
また、めまい、ふらつき、目の疲れ、全身のだるさなどを伴うことがあります。緊張型には反復性と慢性の2パターンがあります。
反復性のように時々起こる程度ならば日常生活に支障はありませんが、それが慢性になると治りづらくなりますし、生活支障度も高くなります。
緊張型は片頭痛とは違って身体を動かしても温めることで筋肉の緊張がほぐれて楽になります。
原因としては、ストレス、不安、同一姿勢による筋の過緊張や眼精疲労による刺激などが挙げられます。
そして痛みがストレスとなりさらに筋肉を収縮させて頭痛をひどくするという悪循環に陥ります。
近年では、パソコンやゲーム、スマートフォンの普及とともに若年層にも増加傾向にあります。
【緊張型頭痛を起こしやすい人の特徴 】
- 和服の似合うなで肩体型の人
- 肩や腕の同じ場所で荷物を長い時間持ち続ける …など
※過度なストレスは脳の興奮を招きますが、ストレスが続いている間は意外に頭痛が起こりにくいものです。
危険なのはストレスから解放されたときです。平日は仕事や学校などがあり交感神経(興奮・ストレス)が亢進し、休日になりますとお休みモードに入り副交感神経(リラックスさせる)が亢進します。これにより、脳の血管が緩み、頭痛を感じさせる神経が刺激されることで頭痛が起こります。
そのため、平日は起こらない頭痛が休みの日になると出てきてゆっくり休む事も出来なくなってしまいます。
群発頭痛
短時間の激しい痛みを伴い、一定の期間ほぼ毎日のように発生する頭痛で、夜間や睡眠中に頭痛が起こりやすいといわれています。
片側の目の奥がえぐられるような激烈な痛みであまりの痛さにのたうちまわるほど。ですが短時間ですのでしばらくすると何もなかったように痛みが引くというのが典型的なパターンです。(15分程度で鎮まることもあれば数時間続くこともあります。)とくに痛むときには鼻水がでる、目から涙が出る、まぶたが垂れ下がるといった症状を伴う事があります。
季節の変わり目や年末年始に多発し、また不摂生を重ねると体内時計の乱れやウイルス(インフルエンザ、帯状疱疹など)の暴走を許し発症につながります。
【群発頭痛を起こしやすい人の特徴 】
- 20~40歳代 特に男性
- 飲酒:血管拡張作用があるため発作が必発する
- 喫煙:鼻の奥にある粘膜の神経節が刺激され発作が生じやすくなったり痛みが生じやすくなる
- 寝る間も惜しんで仕事をバリバリこなし、週末はアウトドアにいそしむというエネルギッシュな人
肩こり
多くの人が悩んでいる肩コリですが、その感じ方は様々です。肩がこわばる、首から肩が張る、背中が重い、腕がだるいなど症状を感じる部分は肩に限らず首や背中、腕まで広範囲に及ぶことがほとんどです。
生活習慣
慢性的な肩コリを訴える人の特徴として同じ姿勢を続けている、姿勢が悪い、運動不足、生活が不規則(食べ過ぎや睡眠不足)などが挙げられます。肩コリはこれらのように筋肉を動かしていない緊張状態が続くことによって結果的に筋肉疲労を招く原因となります。なかには不眠や頭痛、吐き気を伴う事もあります。
自律神経
自律神経は交感神経と副交感神経からなり、活動時には交感神経が優位に働き、心身を休める時には副交感神経が優位に働きます。
しかし視覚や聴覚、暑さや寒さなど外からの刺激によるストレス、悩みや心配事などの精神的ストレスなどが加わると、交感神経が過度に刺激され興奮します。すると血管が収縮し、血行不良を招き、その影響で筋肉が酸素不足になったり、老廃物の排出が滞ってしまい筋肉のコリが生じるのです。
生活習慣の方で“緊張状態が続く”といいましたが、これは交感神経が優位になってしまっている状態です。
手のしびれ
手根管症候群(正中神経麻痺)
手首の骨と人体で形成された手根管という狭い通路があり、その中に通る正中神経という神経が圧迫される病態です。
正中神経は親指~薬指の半分までというほとんど手指全体の感覚をつかさどっています。
手を使いすぎたり、リウマチなどで手根管内を通る腱がむくんだり、手関節周辺の骨折や関節症がおこったりすると正中神経が圧をうけます。それにより、母指側の手首にしびれや痛み、脱力が引き起こされます。しびれが強いと夜中に目が覚めることもあります。
手根管部を指先で軽く叩いたり押したりした時にしびれが指先に放散し、手首を手のひらの方向に曲げると症状が増強します。症状が進むと親指の付け根の筋肉が委縮してしまい、親指と人差し指でものをつまみにくくなったり、OKサインを 作れなくなってしまう為早めの処置が必要です。
軽ければ患側での手仕事をせず安静を保てば自然治療していきます。
橈骨神経麻痺
橈骨神経麻痺は飲酒後の就寝時やうたた寝、腕枕をした際など、腕を圧迫する体制で長時間寝てしまったことによる発症が多いです。
橈骨神経は腕の付け根から腕の骨をまくように走っている神経のため、腕が長時間圧迫されると神経にもダメージが及びます。橈骨神経が麻痺すると「下垂手」といって手首の関節と指をのばすことが困難になりだらんと垂れ下がった状態になってしまいます。
その他の原因としては骨折などの外傷、上腕骨の骨折または脱臼、ガングリオン(手の甲側の関節に出来やすいゼリーのような腫瘤)などがあります。
一時的に麻痺した場合は自然に治る場合がほとんどですが、ずっと続くような場合は病院に行きましょう。
肘部管症候群(尺骨神経麻痺)
肘の内側のくるぶしの後に骨と靭帯で形成された肘部管というトンネルがあり、そこを尺骨神経が走行します。狭くゆとりがないために慢性的な圧迫やけん引が加わると神経の麻痺が生じます。大工や画家など、肘をよく使用する労働者に生じやすいです。
初期症状は手の平・甲両方の小指~薬指側で手首をこえた少し広い範囲にしびれ感が生じます。麻痺が進行すると、手の筋力が低下し小指と薬指がまっすぐにのびなくなってしまいます。この状態を「鷲手」といいます。
筋力低下が進んでいくと、指を閉じたり、開いたりも出来なくなり握力も低下します。
ギヨン管症候群(尺骨神経麻痺)
肘の内側のくるぶしの後に骨と靭帯で形成された肘部管というトンネルがあり、そこを尺骨神経が走行します。狭くゆとりがないために慢性的な圧迫やけん引が加わると神経の麻痺が生じます。大工や画家など、肘をよく使用する労働者に生じやすいです。
初期症状は手の平・甲両方の小指~薬指側で手首をこえた少し広い範囲にしびれ感が生じます。麻痺が進行すると、手の筋力が低下し小指と薬指がまっすぐにのびなくなってしまいます。この状態を「鷲手」といいます。筋力低下が進んでいくと、指を閉じたり、開いたりも出来なくなり握力も低下します。
頸椎症(頸椎症性神経根症)
加齢に伴い、頸椎の椎間板が傷み弾力性を失うなど、変性してしまった状態を「頸椎症」と呼びます。
椎間板はクッションのような役割を担っていますが、クッション性を失うと不安定になり正常な動きが出来なくなります。
椎骨には異常なストレスがかかり、椎骨の周囲が棘のように突出する骨棘が形成されます。 変性してしまった椎間板が後方に突出してしまったり骨棘が突き出ることで椎間孔という神経の通り道を狭めてしまい、神経根を圧迫することで起こる症状を「頸椎症性神経根症」といいます。
原因は加齢による変性で、年を重ねることで自然と変性していきます。その為ある程度の年齢になると一定の割合で発症してしまいます。中年~高齢の人で特に男性に多くみられます。
特徴としては左右どちらか片側の肩~腕にかけて痛みが生じ、腕や手指のしびれが出ることも多く痛みは軽いものから耐えられないような痛みまで程度は様々です。上方を見ることやうがいをするなど、首をうしろにそらせることで痛みが強くなります。上肢の筋力低下や感覚障害が生じることも少なくありません。首から上肢に痛みやしびれが生じる疾患は非常に多く鑑別診断としてレントゲン検査を行います。
胸郭出口症候群
首から肩の付け根にある前斜角筋と中斜角筋、鎖骨の下にある小胸筋が何らかの原因で緊張を引き起こし、その間を通っている腕の神経や血管を圧迫することで首や肩、腕にしびれや痛みを引き起こす疾患です。また圧迫されることにより、肩コリ、首・肩のこわばり、腕のしびれ、冷感、脱力感が生じます。
30歳前後の女性に多く見られ、なで肩や筋肉が少ない人に起こりやすいです。なで肩の人は元々胸郭出口が狭く、筋肉が少ないと腕の重みで神経や血管の重みが圧迫されてしまいます。
男性ですと、怒り肩で首が短く筋肉質の方は筋肉などで胸郭出口が狭まったために発症する例もあります。
【神経性・血管性の症状の違い】
- 神経性:項背部痛、前胸部痛、上肢のしびれ、疼痛、脱力感など
- 血管性:上肢の蒼白、冷感、脈の途絶など まれに肘を曲げて腕を上げるような動作をするだけでも激しい痛みを感じるようになったり、その姿勢を長く保持していると腕や手の色が蒼白から紫に変化してくることもあります。
上腕骨外側上顆炎(テニス肘)
手の使い過ぎやテニスなどのスポーツなどによって、肘の外側の部分に痛みが起こる病態です。
上腕骨外側上顆という肘の外側の部分に付着している手首をのばしたり反らす時に使う筋肉の腱が炎症を起こすことで痛みが生じます。
手拭い・雑巾を絞る動作、肘をのばしたまま重いものを持ち上げたりすることで痛みを確認できます。
腰痛・足のしびれ
腰痛
腰部脊柱管狭窄症
背骨は首から腰の先まで長いトンネルのような形でつながっており、このトンネルが脊柱管で中には神経が通っています。加齢とともに腰椎や椎間板が変形したり、脊柱管のまわりにある靭帯が厚くなったりなどして少しずつ狭くなっていきます。
脊柱管内が狭くなることにより中にある神経が圧迫され、痛みやしびれが起こる状態を脊柱管狭窄症といいます。女性よりも男性に多く硬くてしっかりした骨に起こりやすいです。
腰をそらすと痛みが起こり、腰を丸くすると痛みが和らぐのが特徴で主に腰、おしりからひざの裏側にかけて痛みを感じます。長時間同じ姿勢でいたりすると、足に痛みやしびれが起こることがあります。間欠性跛行(かんけつせいはこう)といって休み休みでないと長い距離を歩けない歩行になることもあります。
また、神経の障害がひどくなると、排尿や排便に障害が起こることがあります。